コラム
能登半島地震を経験し電気の大切さを痛感。 福祉施設として入所者だけでなく地域にも電気を届けられるように【福祉施設/れいんぼうワークス納品インタビュー】
2024.07.23
納品インタビュー
今回インタビューさせていただくのは、社会福祉法人あさみどり会れいんぼうワークスの田中雅樹所長です。れいんぼうワークスは、障がいのある方たちが昼間働く場所と5つのグループホームを運営していらっしゃいます。
愛知県知的障害者福祉協会 防災委員会 委員長 田中雅樹様
田中所長は愛知県知的障害者福祉協会防災委員の委員長も務めていらっしゃいます。
この度は本施設に下記の非常用電源を導入していただきました。
・ELSONA GD5000SR 2台
・ELSONA GD1600SR 1台
・EcoFlow DELTA2 4台
なんと福祉施設としてGD5000SRが納品されるのが、日本で第一号となりました!
施設の規模としては、
5か所のグループホームに30名の施設利用者様がいらっしゃいます。
能登半島地震の支援活動を経て、
田中所長が何を考え、どのような行動をしたのかを語っていただきました。
インタビューに答えてくださっている 田中雅樹所長
-ELSONAを導入したキッカケを教えてください
能登半島地震がきっかけです。
自分の実家は石川県輪島市にあります。
私自身、地震が発生して間もない時に現地で支援活動を行ってきました。
1月4日から11日まで支援物資を福祉施設に届けるという活動を通じて、
災害のひどさ、すごさというのを目の当たりにしました。
生まれ育った町が壊滅している姿を見て、
電気・水道・ガスが届かないという状況が、どれだけ大変なのかを思い知りました。
愛知県に戻って、今後に備えて防災にしっかり取り組んでいこうと思ったときに、
LPガスでも使用できる発電機を知って是非導入したいと思いました。
輪島市の倒壊してしまった民家
ー輪島にあるご実家はどのような状況だったのでしょうか?
実際に自分の家族とも5日間連絡が取れず、実家が孤立集落になっていました。
道路が分断されていて、電気も水道もなく、自衛隊も救助に来れないという絶望的な状態でした。
そのような状況下で船の衛星無線を繋いで兄から電話が来て、
「家族も町民も無事だぞ!」
という連絡を受け安堵しました。ですが続いて、
「食料もない。電気もない。寒い。燃料ももうなくなる。何とかしてくれ!」
と兄から言われましたが、すぐにその連絡は途絶えてしまいました。
ちょうど自分が輪島で救援活動を行っていたので、
すぐにでも駆けつけるべく、いろいろな方面に連絡を取り、
実家の被災状況を聞いてみましたが、
一般人ではとてもじゃないがいける状態ではなく、
自衛隊の方しか行くことができないとのことだったので、
自分は支援物資を運ぶ活動に専念しました。
支援物資を運ぶ 田中雅樹所長①
実家は田舎で、プロパンガスが使えたし、建物の倒壊もほとんどありませんでした。
ただ本当に電気がないというとことで、
ディーゼルエンジン式の消防団の車から電気をとったり
もう1台個人で持っていたレギュラーガソリン式の発電機、合わせて2台の電源で町民は回していたそうですが、
皆さんは携帯の充電ぐらいにしか使わないようにしていたそうです。
その発電機を、燃料は貴重だからと細々と使っていて、
被災から6日目に自衛隊の方が、物資や電源を届けてくださって、
実家の集落は生き残れたと聞きました。
支援物資を運ぶ 田中雅樹所長②
ー実際の支援活動を通して感じたことはありますか?
私が支援物資を施設に届ける活動をしていたなかに、
40名が入所している福祉施設がありました。
その施設は、1月9日になっても誰も支援に入っていない状況でした。
小さいレギュラーガソリン式の発電機で日々を凌いでおりました。
燃料が100m先の避難所には届いているけど、
この施設まで自衛隊に物資を運んで貰える状況でなく、
職員さんが2日おきに燃料と物資を取りに行っているとのことでした。
「誰も助けに来てくれない。」
職員さんの疲れようと言ったらもう感覚が麻痺しているような、
表情も動かないような様相で、皆さんギリギリの状態で頑張ってこられたというのをまじまじと感じました。
自分の家が全壊や半壊している職員さんがそんな中、
だんだんとこの施設に集まってきてくれていて、
なんとかまわっているというのが1月9日の状態でした。
節約のため、職員さんの携帯と利用者の方の髭剃りしか充電できず、
暖房はとでもじゃないが使えず、石油ストーブで暖を取っているというのを聞いて、
電源が大事だなと思い、カセットボンベ式の発電機と100本近くのカセットボンベを持っていったら、
『やっと電源を節約しなくても使えるようになった!』
と心から喜んで貰えたので、電気の大切さが身に沁みました。
ELSONA納品の様子①
ーなるほど、大変な状態だったんですね。
明かりもランタンしかないので、明るい間に食事の用意をして、
夕方の4時にご飯を食べて就寝するという生活だったといいます。
その中でも本当に一番つらいのは、
情報がなくていつ復旧するかの目途が立たなかった事だそうです。
『この生活がいつまで続くのか分からない状態で働かないといけない』
施設の利用者さんに「この生活はいつ終わるんだ」と聞かれる事がきつかったとおっしゃっていました。
ELSONA納品の様子②
ー今回納品に立ち会って職員の皆さまの防災意識がとても高く驚きました。
そうですね、能登地震以降、職員の防災意識は高くなりました。
幸い、れいんぼうワークス自体の被害はほとんどありませんでした。
私は輪島での支援活動後、被災地の写真を撮影し、
被災状況をありのまま職員や利用者の保護者に共有しました。
れいんぼうワークスでは、
施設利用者30名の方の命を預かっています。
大規模災害があったときに、
支援物資は届かないし、
自衛隊の方がすぐに来てくれるかわからない。
今までの予想では3日たてば誰かが助けに来てくれると思っていましたが、
そんなことはないかもしれない。
それなら自分たちで備えるしかないと思いました。
れいんぼうワークスは、以前クリーニング事業をやっていた名残りで、
50キロのボンベが14本もあります。
今回導入した発電機の容量が大きな物でも連続稼働したとして、
単純計算で23日分の燃料が確保されていることになります。
加えてグループホームにも12本あります。
この量のガスをみた職員の笑顔を見られたとき、僕は心の中でガッツポーズしました。
14本の50kgLPガスボンベ
ー今回導入した電源の運用方法を教えてください。
拠点とする2箇所のグループホームには、
1台ずつGD5000SRを配備し、分電盤に接続し、
天井埋込式エアコンを稼働させられる状況を作っております。
GD5000SRを分電盤に接続し、天井埋込式エアコンを動かしている様子①
↓
GD5000SRを分電盤に接続し、天井埋込式エアコンを動かしている様子②
また、納品に合わせて発電機とワンタッチでLPガスを繋げる配管工事を依頼しました。
事前の打ち合わせで、ジョイントが分岐できるということを知り、
ついでにホースを2つ繋げられるようにしてもらいました。
これを炊き出し用のガスコンロと繋げば、
発電機で発電しながら炊き出しすることも可能になります。
(左の白色ホース:ELSONAに接続するガスホース)
(右のオレンジ色ホース:炊き出し用のガスコンロに接続するガスホース)
ガス供給口からGD5000SRに接続し起動している様子
さらにもう一つの事業所にはGD1600SRを1台配備しました。
これを利用してDELTA2を4台を充電し、
5つあるグループホーム全ての電源をまかなえるようになります。
GD1600SRでポータブル電源を充電している様子
利用者の方の快適を保つのも、命を繋ぐのも一番大事なんですが、
きっと地域の方が頼ってくる場所になるだろうとも思っています。
福祉施設避難所に指定されているかどうか関係なしに
地域住民の方が集まったというのを石川で見たので、
少しでも電気がついていたり、
温かいところですごせるという環境を作れると、
地域の為にも貢献できる。
それが社会福祉法人の使命だと思っています。
ELSONA納品の様子③
ーこれからの防災に向かって意気込みをひとことください。
防災に備えるってきりがないと思ってしまったりとか、
どこまで予算を組んだらいいのかなんて今まで思っていたんですが、
思った時がやるときだと思うので、確実に一個づつやれることをやって、
もしもの時にやっててよかったって思えるようにやっていきたいと思います。
ELSONA納品の様子④
ーありがとうございました。
田中所長の支援活動を通じての思いをしっかりと受け取りました。
能登の震災から半年が経過し、日本では震災の怖さが薄まってきていると感じます。
この記事を読んだ皆さんが再度、実際の震災でどのような状況だったのかを再確認し、
防災に対して意識を向けていただければ幸いです。
(インタビュアー、記事ライター:正司 光輝)
納品場所
社会福祉法人あさみどり会れいんぼうワークス
ELSONA GD5000SR 2台
ELSONA GD1600SR 1台
EcoFlow DELTA2 4台